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書評コーナー
君に届け 学習院大学フランス会公演 オルフェ 終活その1

そろそろ、人生の締めくくりを迎えて、過去に直面する時が来た。

先日、中田英寿が、インタビューで、楽しい時間は苦しい時間の後にしか来ないと言っていたのを思い出す。楽しい時間、あなたはその時間を、10年後覚えていますか?と中田は言っていた。
それを聞いてしばらくして、ゴールデンウィークに入り、日帰りバスツアーで、国立ひたち海浜公園のネモフィラを見に行った。
連休で、高速は渋滞している。
長いものを聴こうと、携帯の音楽ライブラリを見ていると、自分が大学時代に演出として関わった、表題の舞台をデジタル録音したものが入れてあった。
ジュラ紀と思わずに聴き始めた。
最初は、客観的に聴くことができず、昔の回想にはまり込んでしまったが、2時間の舞台録音を帰りのバスの中で聴き終わった時は、様々な感情が明滅した。
当時主演の、S.Tは二十歳、同じく主演のヒロインを演じたM.T嬢は19歳、他の面子も同じ歳、わたしは21歳であった。
まず思ったのは、2時間を超える舞台のセリフを、それもフランス語で、よく覚えられたと、キャストのみんなに、凄いって心で呟いた。

テープで録音してくれた先輩は、フランス会公演で一番の出来栄えだったと、かつて言ってくれたが、サークルという閉じた場で、恋愛感情もチラつくなか、劇の仕上げという点では、客観的に見ても、蜷川氏の舞台くらい素晴らしかったと自負できる。

帰ってきて、原書と突き合わせてみると、キャストそれぞれが、セリフすっ飛ばしやらも含めて、台本に生命を吹き込んでいたのが分かった。みんなここまでやってくれたんだ、と若さの力をまざまざと感じとることができた。
途中、バッカスの巫女たちが出てくる。舞台の上で、金切り声をあげる。今の時代の若い子はやってくれないなって思った。

舞台装置は、動画は残っていないが、石膏像のオルフェの首など、シュルレアリスムをベースに作ってくれた。僕とS.Tは、禁止を承知で部室に泊まり込んだ。
音楽も、ルイジ ノーノの前衛音楽などがメインで、シュルレアリスム的に仕上げてもらった。
テープは、三八ツートラである。

残念だったのは、集客が不足してしまったことである。わたしと舞台監督との意思疎通が足らなかったことであろうか。
フランス語のチラシを作って、フランス人の教授に知己の人たちに来てもらうとか、アテネフランセや、日仏学院に通って集客すべきだったと思う。まぁ、意思疎通が足らなかったと言ったって、2人とも留年して1年遅れで卒業しているくらいだから、必死だったんでしょう。

僕たちは若かった。
傷つけあうために、生まれてきたようなものだった。その点は、僕は、皆に謝りたいと思う。
でも、素晴らしい舞台を成し遂げた。

中田英寿のインタビューでの言葉を使うと、あの公演は皆辛かったと思う。だから、みんな卒業後、自身の道を歩み始めても、費やしたあの1年間は、10年経っても覚えてくれていると思う。

EURYDICE
J'ai ta main dans ma main. Marche. N'aie pas peur. Laisse-toi conduire...

《舞台録音:再生》
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