the book-review columns

書評コーナー
電子書籍のプロデュース
 2019年2月に、とある縁で、アマゾンKindle本(小説)のプロデュースに関わった。
 とある縁とは、筆者が行きつけの飲み屋さんのマスターなのである。
 マスターは、以前から小説家を目指していて、今までかなりの生原稿を読ませていただいた。
 わたしが、Kindle本を出版した旨を伝えると、新作をKindle出版したいとのことであった。2018年12月初旬に飲みに行った際に、その話が出た。そして年が明け、2019年1月中旬、メールがはいり、新作を書き終えたので、飲みにきてくださいとあった。行くと、116枚の小説原稿が置いてあった。昨年の時点では、30枚くらいと言っていたので、116枚には面食らった。なぜなら、友達三人の飲み代をまけるかわりに、原稿用紙からワープロへ起こしから、アマゾンにアップロードできる状態に仕上げる約束をしていたからである。30枚と116枚ではあまりに負荷が違う。
 結局、友達ふたりで、58枚ずつ起こすことになり、もうひとりは売り込みの方に専念してもらうことになった。わたしの担当は、後半58枚の起こしである。
 1月31日に、前半の起こしの友達と都内で会い、原稿の受け渡しをした。1ヶ月の時間をいただいているものの、ふたりでため息をつき、とりあえずやるっきゃないということで別れた。
 そして、2月14日、前半の友達から、入力終わり、添付ファイルを送ると、メールがあった。わたしの後半は、遅々たる進みでまだまだある。入力のスピードをアップさせた。

 2月25日、やっと後半の入力を終え、前半後半のファイルを結合し、2月27日、アップロードしてもらった。

 電子書籍は小説で、タイトルは、『長い夜:そして朝、オリオンが沈むとき』である。

 生原稿で通読してから、入力したので、一読者としての感想を少し書こうと思う。

 わたしも売れない小説を書いた経験があるが、興味分野の違う人が書くと、小説とは銘打ってもこうも違うのか、というのがまずの印象である。
 わたしの大学時代の専攻は、現代フランス文学で、19世紀は、ネルヴァル、フローベールなど、20世紀は、プルースト、ヴァレリーなど、そしてフランスではないが、ラテンアメリカの作家たち、マルケス、バルガス・リョサ、コルターサルなどをおもに読んでいた。

 今回の『長い夜』は、見事に日本にローカライズされた作品である。この作者にはまず先に言葉があるようで、例えば、「国境なき医師団」という言葉がまずあると、登場人物としてすぐ使う。国境なき医師団に入るには、それ相応な語学力が必要であるが、そんなことはお構いなしである。結果、日本で自宅がベースの医師団で働く医師が出てくる。
 さらに、車椅子の女主人公の家は、風呂場を修繕するお金がなく、窓にダンボールを張っている。その女の子が、突然アメリカに渡航し、手術を受ける。周知のように、アメリカの医療費は高額である。そんなこと、作者はお構いなしである。ストーリーのためなら、現実世界(レアリテ)は堂々と無視される。ヤクザも出てくるが、極道の専門用語ひとつとして無い。

 それの連続なので、読んでいて笑いが止まらなかった。
なかには泣く読者もいるかもしれないので、そこは許していただきたいが、ともかく比類なき構築であることには異論なしであろうか。
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