the book-review columns

書評コーナー
マルセル・プルーストの作品の構造 井上究一郎 La structure de l’oeuvre de Marcel Proust par K.Inoue
 この研究論文は、プルースト、とりわけ、『失われた時を求めて』の研究には不可欠のものである。
 私は、この書籍の入手が困難であったこともあって、今回まで読む機会がなかった。

 読了して驚いたことが、ふたつあった。
まず、プルーストの『失われた』の作品形成の胚種が、多くの部分で、ジェラール・ド・ネルヴァルから帰せられていること(Sylvieは当然のこととして、Les Chimeresまでもプルーストの作品の胚種として論じられている)。
第2に、胚種としてではないが、作品の哲学的存在価値を、かのMallarméのLe Livreの、マラルメが終に果たせなかった、時を越えての実現として、結論付けていることであった。

 そして、Marie Nordlingerへのインタビューなど、マルセルの直の知己の証言も少なからず収録されており、関係者たちが他界してしまった現在となっては、研究書ではうかがい知れないドキュメントとしての価値も見逃せないものとなっている。

 この書籍を購入した、駿河台下の風光書房さんには、他の書籍でもお世話になった。
少し前、閉店されたそうです。書店のなかで、棚を眺めていた自分と、書店主さんの衣擦れのように静かな、書物を整理する音がしていた、窓からは木漏れ日がさしていた、そんな時間があったことが夢のようです。
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Jun.2017
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